概要
「FE 24-70mm F2.8 GM II(SEL2470GM2)」は、私が標準域で求める“万能性”を、静止画・動画のどちらでも確かに実現してくれるレンズです。中心はもちろん、四隅まで粘る高い解像力と自然なコントラスト、動画でも使いやすい操作系とAFの俊敏さが光ります。重量はスペックのわりに健闘しているとはいえ、長時間の歩き撮りでは少し重いと感じる場面もあります。価格も高価ですが、総合性能とのバランスを考えると“値段に見合う価値はある”というのが私の結論です。唯一、私の購入個体は右側が荒れる個体差があり、メーカー調整でも改善が弱く、どうしても気になったので手放しました。個体が良好であれば、今も主力として使い続けていたと思います。

主要スペック
対応マウント | Sony E(35 mmフルサイズ対応) |
---|---|
焦点距離 | 24–70 mm |
開放絞り | F2.8(通し) |
最小絞り | F22 |
絞り羽根 | 11枚(円形絞り) |
レンズ構成 | 20群15枚 |
最短撮影距離 | 約0.21 m |
最大撮影倍率 | 0.32倍 |
フィルター径 | 82 mm |
最大径 × 長さ | 約87.8 × 119.9 mm |
質量 | 約695 g |
AF駆動 | XDリニアモーター×4 |
手ブレ補正 | なし(ボディ側対応) |
防塵防滴 | 防塵・防滴に配慮した設計、フッ素コーティング付き |
コーティング | Nano ARコーティング II |
発売日 | 2022年4月 |
外観・操作性
鏡筒はG Masterらしい凝縮感あるデザインで、コンパクトかつ軽量です。ストラップなしで一日歩くと“ずっしり”とした感覚はあるものの、焦点域やF2.8通しを考えれば驚くべき軽量化(約695 g、長さ約119.9 mm×径約87.8 mm)。操作系では、絞りリング(クリック on/off/ロック付き)、2つのフォーカスホールドボタン、ズーム操作感をTight/Smoothに切り替えるスイッチなど、動画撮影にも嬉しい設計が充実しています。
画質について
中心から四隅まで高い解像力を誇り、F2.8開放でもシャープでコントラストの高い描写が可能です。ボケもきれいで一般的な使用では十分すぎるレベルであると思います。
- 軸上色収差
開放F2.8ではわずかなマゼンタ/グリーンのフリンジが発生しますが、軽度に抑えられています 。f/4まで絞れば大きく改善し、f/5.6でほぼ消失します。 - 倍率色収差
倍率色収差は極めて良好に抑えられています。広角側で軽度な色ズレはでますが、ほとんど気にならないです。 - コマ収差
特に広角端24mmで懸念されるコマ収差も非常に良好に抑えられています。 - 歪曲収差
ズームレンズらしい変化はありますが、量は中程度でカメラ側の補正で容易に修正可能です。 - 周辺減光
24mm f/2.8の四隅で減光あります。開放では目立ち、f/4で改善、f/8でほぼ解消します。70mm f/2.8では広角端より軽度です。f/5.6で大幅に改善します。カメラ側の補正で低減できます。

長所/短所
+ 中心から端までの高解像度と豊かなコントラスト、開放F2.8でも安定した画質。
+ コンパクトかつ軽量(約695 g)、前モデル比で20%軽く・18%小型化され、携帯性が向上。
+ 高速・静音の4× XDリニアモーターAF、滑らかな動画操作に対応した絞りリングやズーム感切り替え等の操作性。
- 価格が高価。コスト面で手を出しづらい人も多い。
- α7cⅡなどの小型機だと、フロントヘビーになる。
比較
レンズ名 | 質量 | 焦点距離 | F値(絞り羽枚数) | 最大撮影倍率 |
---|---|---|---|---|
Sony FE 24-70 mm F2.8 GM II | 約695 g | 24–70 mm | F2.8(11枚) | 0.32倍 |
SIGMA 24-70 mm F2.8 DG DN II Art | 約735 g | 24–70 mm | F2.8(11枚) | 約0.37倍 |
TAMRON 28-75 mm F/2.8 Di III VXD G2 | 約540 g | 28–75 mm | F2.8(9枚) | 約0.37倍 |
- SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN II Art 本レンズと性能差はほとんどなく、コストおさえるな らいい選択肢になりそうです。逆光耐性は高いといわれてるので、フレア抑えたいならこちらの方がよさそうです。ズームリングの回転方向が純正レンズとは逆なのは注意です。
- TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2(A063) 軽量、値段が安い。日常使いならこれで十分と思います。
結論
私にとってGM IIは、万能かつ安心感ある標準ズームの理想像です。中心から四隅への高解像度、優れた寄り性能、動画に配慮された操作系、高速AF等、全てが高水準でまとまっており、「これ一本で行ける」と感じられるレンズでした。重さと価格は確かにハードルですが、得られる描写と現場での信頼感はそのハードルを越えてきます。個体差による不運がなければ、今もメインとして使い続けていたと思います。標準ズームで迷っている方にとって、画質に妥協せずに写真・動画をこの一本で撮り切りたい方には、後悔しない選択になると思います。購入前にはボケや色の出方の好みを作例で確認することをおすすめします。
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