概要
TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (Model A065)の使用レビューです。望遠域のレンズはこれが初めての使用です。使用カメラはα7C IIです。携帯性と価格のバランスに期待して購入しました。圧縮効果を活かした撮影ができるので、標準域とは違った表現ができます。風景撮影や、ポートレート用途にマッチしたレンズです。野鳥撮影はもっとズームが必要に感じますので、高画素機でクロップをするなど工夫が必要になりますので、焦点距離が大きいレンズを選ぶ方が満足できると思います。


主要スペック
発売日 | 2023年10月12日 |
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対応マウント | ソニーEマウント(フルサイズ対応) |
焦点距離 | 70-180mm |
開放絞り | F2.8 |
絞り羽枚数 | 9枚 |
絞りリング | なし |
最短撮影距離 | 0.3m(WIDE)/0.85m(TELE) |
最大撮影倍率 | 約0.38倍(WIDE)/約0.21倍(TELE) |
フィルター径 | 67mm |
サイズ(最大径×長さ) | 83×156.5mm |
質量 | 855g |

外観・操作性
外観はプラスチック感があり高級感は控えめです。このレンズスペックとしては軽量コンパクトで、フィルター径は67mmです。レンズ内手ブレ補正(VC)も搭載し、AFは実用的な速度です。カスタムスイッチは搭載しますが、他のレンズに比べると機能は少ない印象です。絞りリングはありません。望遠端が180mmまでとなっていますが、体感ではそこまで欠点に感じませんでした。

画質について
絞り開放ではやや甘く感じる場面がありますが、少し絞れば改善します。ボケは柔らかい印象です。玉ボケは開放ではレモンボケが目立ち、絞っても大きな改善はありませんでした。小型設計ゆえの影響もあると感じます。詳細は作例をご確認ください。


- 軸上色収差
点光源や強いコントラストの境界でも、紫や緑のにじみはほとんど見られません。ボケ部分に若干の緑被りが出る程度で、実用上は無視できるレベルです。 - 倍率色収差
周辺部に出る倍率色収差も良好に補正されています。カメラ内や現像ソフトのプロファイル補正が効くため、実写ではほとんど問題はありません。補正をオフにしても、目立つ色ズレは見られません。 - コマ収差
周辺の点光源が流れるコマ収差も非常に少ないです。70mm F2.8でもごくわずかに見られる程度で、F4に絞ればほぼ消失します。180mm側ではほとんど確認できません。 - 歪曲収差
全域で「糸巻き型」の歪曲がやや強めに出ます。カメラ内補正で修正できるレベルです。 - 周辺減光
F2.8開放時は、コーナーに強めの光量落ちがあります。F4で改善し、F5.6ではほぼ気にならなくなり、F8でほぼ消失します。 - 逆光耐性
良好な抑制がされています。70mm側では特にゴーストやフレアが少なく、黒がしっかり締まります。180mm側ではややフレアが増えますが、常識的な範囲です。斜めから強い光が入るとフレアが出やすいですが、フードを使えばかなり防げます。

長所/短所
+ 小型軽量で取り回しが良いです。
+ F2.8通しで明るいです。
+ 67mmで他のタムロンレンズとフィルターを共用しやすいです。
+ 広角端0.3mまで寄れて実用的です。
− 外装の高級感は控えめです。
− 開放の周辺描写とボケ形状にクセを感じる場面があります。
− レンズに搭載のスイッチ類が少ないです。
比較
レンズ名 | 質量 | 焦点距離 | F値(絞り羽枚数) | 最大撮影倍率 |
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TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 (A065) | 855g | 70-180mm | F2.8(9枚) | 0.38倍 |
FE 70-200mm F4 Macro G OSS II | 約794g | 70-200mm | F4(9枚) | 0.5倍(全域) |
FE 70-200mm F2.8 GM OSS II | 約1045g | 70-200mm | F2.8(11枚) | 0.3倍 |
・A065:F2.8通しと小型軽量の両立が魅力です。フィルター径67mmで運用しやすいです。
・F4 Macro G OSS II:ズーム全域で0.5倍のハーフマクロが強力で、軽量です。絞り開放がF4.0でいいのであれば、このレンズはいい選択肢になりそうです。
・F2.8 GM OSS II:F2.8と11枚羽のボケ、ハイレベルなAF・描写、内部ズームで取り回しが良いです。高速な被写体を撮影する場合はこのレンズが適していると思います。
結論
小型軽量で値段が抑えられていることが本レンズの特徴だと感じます。AF性能や画質で最高を求めると純正上位に分がありますが、黒レンズで目立ちにくく、コストと携帯性を重視する使い方にはとても合います。絞り開放がF2.8なので、暗めのところでも、シャッタースピードを稼げるので、手持ちで撮影が多い私は重宝するポイントになります。運動会や、野鳥撮影などの用途では、望遠が不足していると感じます。SONYの純正レンズは、レテコンバーターで焦点距離を伸ばせますが、このレンズはできません。私の用途ではたまに持ち出す望遠レンズとして満足しています。

皆既月食の月を撮影してみました。180mmでは小さく映るのでかなりクロップしています。
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